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きのうの夜は
第4章 離婚

「え?水曜日って仕事休むの?」
「違うよ…仕事早く上げてから彩夏を迎えに行くから…」
私は、雅之に新しいアパートを知られたくなかった。
なので、近くの駅まで迎えに来てくれるように頼んだのだ。
「じゃ、駅まで迎えに来て…」
「分かった…」
水曜日は私も仕事を午後から休暇を貰い休むことにした。
そして、午後3時に最寄り駅まで雅之が車で迎えに来てくれた。
私が車に乗り込むとこう言ってくるのだ。
「俺、早く離婚届け出したいんだよな…」
「そんなに急がなくても良かったのに…」
「いや、俺は急いでる…」
何故、そんなに雅之は急いでいるのかその時は分からなかった。
そんな会話をしているうちに役所に着いてしまう。
役所に着くと直ぐに離婚届を雅之が出し受付へと持ってゆく。
「婚姻届けは親が出しに行ってくれたけど、離婚届を二人で出しに行くとはな…」
そう言うと雅之は“ククク”と笑うのだった。
私は、旧姓は「沢山」だったのでそれに戻る手続きをした。
年金手帳や健康保険証など名義を変えなくてはならなかった。
こんな時、女とは実に面倒くさいと感じてしまう。
実印や印鑑証明も変更しなければならなかった。
実に、面倒くさいと思ってしまった。

