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きのうの夜は
第4章 離婚
私たちは二人で離婚届を出し終わると、雅之は私を最寄り駅まで送ってくれた。
「じゃ、元気でな…」
「ええ、雅之も元気で…」
そう言い終わると車は私を残して走り去っていった。
この時、私も雅之も30歳だった。
人生、やり直すには十分な年齢だと言える。
私は晴れて、法律的にも現実的にも自由な身になった。
それを一番に喜んでいたのは吉村だったかも知れない。
離婚届を出したことを吉村にLINEで伝える。
「離婚届出しに行ったのか?」
「ええ、今日出しに行ったわ…」
「これから先、どうするんだ?」
「え?これから先って?」
「俺とどうするのかってことだよ…」
私は吉村が言っている事が理解できないでいた。
「どうするって?」
「だから、俺と一緒になるのか?ってことだよ…」
何と、離婚した当日にそれもLINEでプロポーズされてしまった。
正直、私は暫く誰とも再婚する気はなかった。
「私は、暫くひとりで暮らしたいわ…」
「そうかよ…分かったよ…」
そう言うと吉村はLINEを閉じた様だった。
私も同じくLINEを閉じたのだ。