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きのうの夜は
第7章 想い
なので、私は吉村とセックスをするのが好きではなかった。
好きではなかったのだが、毎回吉村からセックスを求められていた。
私は、毎回エクスタシーを感じる事がなかった様に思う。
吉村の独りよがりのセックスに私は飽き飽きしていた。
でも、別れることができなかった。
何故、あの頃別れようとしなかったのだろう。
自分でもとても不思議になるのだ。
ただ、吉村は私の事を気に入っていてもちろん手放すなす気などはいなかった様だ。
吉村の私に対する束縛は尋常ではなかった。
平日の夜は毎晩電話をしないと彼は納得しなかった。
会社で毎日会っているにも関わらず、吉村は毎晩電話をすることを強要していた。
その毎晩の電話で何を話したのかは覚えていない。
それくらいに印象が薄く心に残っていないのだった。
会社の飲み会でも毎回一緒に行っていた。
本当に四六時中いつも一緒に居たように思う。
そんなに好きでもなかった吉村と何故温泉旅行などに一緒に行っていたのか。
今でもとても不思議に感じてしまうのだ。
吉村はかなり私に対して高圧的だったかも知れない。
その頃の私はそんな吉村の高圧的な態度に抵抗できなかった。
だから、彼のセックスにも応じていたし言う事を聞いていたのだ。
吉村の私に対する想いと私の彼に対する想いは完全に違っていた様に思う。
でも、私は吉村からこの時はまだ逃れる事ができなかった。
私は、吉村の事が怖かったのだろうか。