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きのうの夜は
第9章 加仁湯
フロントに電話をしてみた。
「あの、お昼って頼めますか?」
「はい、ご準備できますが…」
「何があるんですか?」
「そうですね、温かいおうどんなどございますが…」
吉村にその事を伝えると、それでいいと言ってきた。
「なら、その温かいうどんを二人前お願いしたいんですけど?」
「はい、かしこまりました。お部屋にお持ちします…」
お昼は部屋で食べられるようだった。
うどんが届けられるまで私たちはお茶を飲みながら待っていた。
暫くしてから、引き戸が空く音がする。
「失礼致します。ご注文のおうどんです…」
そう言うと、仲居さんがうどんを持ってきてくれた。
それを、部屋の前に置くとまた引き戸を閉めて出て行った。
私はうどんのトレイを持って部屋に入り、大きな座卓の上に二人前のうどんを置いた。
吉村はそれを見ているだけだった。
お互い座卓を挟んで向かい合わせで座っていた。
私は、うどんの器の蓋を開けてみる。
そこには沢山の具が入った温かなうどんが姿を現したのだ。
「わ~、美味しそう…」
「そうだな、旨そうだな…」
「さ、食べましょう…」