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きのうの夜は
第10章 距離感
この頃になると、ようやく自分の気持ちが理解できるようになってきた。
やはり、私は吉村と言う男を好きではないのだ。
他に付き合う男が居なかったので吉村と付き合っていたのだと思う。
もし、他に男が居たのなら、とっくの昔に別れていたにちがいない。
この辺りからだった。
吉村の束縛がもっと激しくなってきたのだ。
吉村以外の誰かと飲みに行ったり、食事に行ったりするのも禁止された。
私は、グループの誰とも飲みに行くことができなくなった。
私のフラストレーションは溜まってゆく。
同じグループの女子社員とさえも一緒に飲みに行ったりできないでいたのだ。
そんな時だった。
吉村からあるものを渡されたのだ。
「これ、使ってくれ…」
「なに?」
手に渡されたものを見てみた。
そこには通帳とキャッシュカードがあったのだ。
「そこに100万入ってる…」
「だから、なに?」
「それ、自由に使っていいから…」
「それは、困るわ…」
そう言って、通帳とキャッシュカードを押し返そうとした。
すると、それをまた私に押し付けてくる。
「俺の気持ちだから…それにお前金無いだろう?」