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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第6章 伍の巻
 めざめは突然、訪れた。
 意識がゆっくりと浮上してゆくような感覚があり、次いで深い水底から突如として陸(おか)へと引き上げられたような気がして、公子は眼を開く。長い翳を落とす睫が細かく震え、黒眼がちな大きな瞳がぱっちりと開いた。
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