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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第6章 伍の巻
 公之の心遣いが嬉しく、公子は言葉に甘えて公之と一緒に庭に降りた。
 日毎に高くなってくる秋の蒼空に、ちぎれ雲が重なり合うように浮いている。
 女郎花の可愛い花が身を寄せ合うように咲いている。公子は眼にも鮮やかなその花に見入った。ふと、緑の葉の上に小さな毛虫を見つける。
「まあ、可愛い」
 思わず呟いてその虫をほっそりとした指先でつまみ上げると、慣れた手つきで手のひらに載せた。
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