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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第2章 壱の巻
 そんな公子は実は、とてもお人好しだ。涙脆くて優しくて、そのくせ、正義感も人一倍強い。全く、傍にいる相模はいつも気の休まる暇がないというのが実情だ。
 相模の母唐橋は数年前に病で亡くなったが、息を引き取る間際まで、実の娘の相模のことよりも公子のゆく末を案じていた。相模の手を握り締め、最後まで
―姫さまを頼みますよ。
 そう言いながら息を引き取ったのだ。
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