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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
ただ、桐壺更衣の死と幼き皇子・皇女の相次ぐ死を嘆き続ける日々を過ごしてきたためか、美しい眼許には隈が出来、頬の線も鋭角的になって、その美貌にも凄絶さが加わっていた。
だが、安子の方は念願の公子の参内にいっとき、哀しみと憂さも忘れたようである。
美しい貌に笑みを浮かべ、親しげに話しかけてくる。
「まあ、すっかり娘らしく綺麗におなりになったこと。さあ、もう少し近くに来て、もっとよく顔を見せて下さい」