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ヒヤシンスの恋
第2章 薔薇の秘密
菫はびくりと身体を震わせた。

「申し訳ありません。
乱暴な振る舞いをしました」

我に帰ったように、男が率直に詫びた。

「…いいえ…」

…けれど…

「…染布先生も、その方とのお別れを望まれたのでしょうか?」

目の前の男は、はっと息を飲み…再び端正な眉を顰めると珈琲を一気に飲み干した。

「…染布が望まなくても、もう二人の関係は破綻しているのです。
第一、自分の将来を台無しにした人間と一緒に生きていけるはずがない。
私は、染布をこれ以上不幸にしたくないのです。
私にはあの子を幸せにする義務がある」

…いや。

「幸せにしてみせます」

その瞳には真摯な決意と、紛れもない愛情に満ちていた。

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