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ネコの運ぶ夢
第10章 海辺のネコ
助手席で、外の景色を見ながら少し調子外れの鼻歌を歌う音子は、見ていて飽きない。
都会の町並みから、次第に景色が変わってくる。川をわたり、ひたすら国道、県道を走る。途中、コンビニでトイレ休憩、飲み物休憩を入れたりしたが、大体2時間ちょっとくらいでたどり着いた。
鎌倉、由比ヶ浜。
「うわー!!海です!見てください、すっごい広い。市ノ瀬さん!」
音子が砂浜をだかだか走って波打ち際に突っ込んでいく。
鎌倉は7月1日に海開きをしているが、この辺は遊泳禁止のようで、人出もまばらだ。
「市ノ瀬さーん!海、入っていいですか!?」
まあ、いいけど。一応タオルやらなんやらは持ってきている。
俺が許可すると、音子は靴を脱いでそっと海に足を浸した。
帽子を片手で押さえ、スカートをちょっとだけたくし上げている。
その姿が本当に絵になっている。これを見られただけでも来た甲斐があった。
「市ノ瀬さんこっちに来てー!カニがいる!!」
音子が棒のようなもので波打ち際をつついている。近づいてみると、波打ち際の砂浜からカニが這い出したり、穴に引っ込んだりしている。
「こ・・・これ・・食べれますか?」
ジュルっとよだれをすする音が聞こえそうな感じで言うが、拾い食いするなよ。知らねえぞ。腹壊しても。
まだ昼までには少々時間がある。ちょっと別の場所も見てみよう。
俺たちは海岸の近くのお店に立ち寄って土産物を物色したり、屋台風の店でちょっとした買い食いをしたりした。
「少し行ったところに、花がきれいで有名な寺があるんだがいくか?」
音子の返事はもちろんイエスだ。車に乗り込むと、あじさい寺と言われている観光地に向かう。あじさい寺というくらいだから、本当は、紫陽花の季節にいくのがいいのだが、もう7月の半ばで、すでに季節は終わっていた。ただ、それでも園内にはゆりやムクゲなどが咲いていたし、池には蓮や睡蓮が見事な花を咲かせていた。
「きれいですね・・・。天国って、こんな感じなのかな」
ネコの日傘を差しながら、音子がうっとりと言う。睡蓮が咲き乱れる池を背景に佇む女性というのも、素晴らしく絵になる。
ふと、音子が俺の方を見て笑う。
「ん?なんだ?」
「うううん。なんでもないです。」
なんか、嬉しそうだ。くるっと一回転して見せた。
都会の町並みから、次第に景色が変わってくる。川をわたり、ひたすら国道、県道を走る。途中、コンビニでトイレ休憩、飲み物休憩を入れたりしたが、大体2時間ちょっとくらいでたどり着いた。
鎌倉、由比ヶ浜。
「うわー!!海です!見てください、すっごい広い。市ノ瀬さん!」
音子が砂浜をだかだか走って波打ち際に突っ込んでいく。
鎌倉は7月1日に海開きをしているが、この辺は遊泳禁止のようで、人出もまばらだ。
「市ノ瀬さーん!海、入っていいですか!?」
まあ、いいけど。一応タオルやらなんやらは持ってきている。
俺が許可すると、音子は靴を脱いでそっと海に足を浸した。
帽子を片手で押さえ、スカートをちょっとだけたくし上げている。
その姿が本当に絵になっている。これを見られただけでも来た甲斐があった。
「市ノ瀬さんこっちに来てー!カニがいる!!」
音子が棒のようなもので波打ち際をつついている。近づいてみると、波打ち際の砂浜からカニが這い出したり、穴に引っ込んだりしている。
「こ・・・これ・・食べれますか?」
ジュルっとよだれをすする音が聞こえそうな感じで言うが、拾い食いするなよ。知らねえぞ。腹壊しても。
まだ昼までには少々時間がある。ちょっと別の場所も見てみよう。
俺たちは海岸の近くのお店に立ち寄って土産物を物色したり、屋台風の店でちょっとした買い食いをしたりした。
「少し行ったところに、花がきれいで有名な寺があるんだがいくか?」
音子の返事はもちろんイエスだ。車に乗り込むと、あじさい寺と言われている観光地に向かう。あじさい寺というくらいだから、本当は、紫陽花の季節にいくのがいいのだが、もう7月の半ばで、すでに季節は終わっていた。ただ、それでも園内にはゆりやムクゲなどが咲いていたし、池には蓮や睡蓮が見事な花を咲かせていた。
「きれいですね・・・。天国って、こんな感じなのかな」
ネコの日傘を差しながら、音子がうっとりと言う。睡蓮が咲き乱れる池を背景に佇む女性というのも、素晴らしく絵になる。
ふと、音子が俺の方を見て笑う。
「ん?なんだ?」
「うううん。なんでもないです。」
なんか、嬉しそうだ。くるっと一回転して見せた。