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未婚の母、桃宮茉莉32歳
第11章 叔父と?
叔父さんの気持ちはさっきの会話でわかっていた。でも、叔父さんが気が付く以前の部分は知らないことにして、
「叔父さんの意見は?」
と、訊くと、黙り込む叔父。そして、ポツリ、ポツリと話し始めた。
「そうだな。さっき、妻の面影が茉莉ちゃんにあったから、思わず、妻が帰ってきたのか。死んだというのは何かの間違いだったのではないかって思って立ち上がって、茉莉ちゃんを抱きしめてしまったよね。悪いことをしたと思っているよ。ただ、そのときに、妻との結婚前、まだ、学生で付き合っていたころのことを。初めて妻を抱きしめたのも、妻が一人暮らしをしていたアパートのキッチンだった。あのとき、妻は言ったんだよ。『好きなら好きって言いなさいよ。エッチしたいならエッチしたいって言いなさいよ。私だって覚悟を決めたから、招いたのよ』って。その時のことを思い出した。茉莉ちゃんは、『叔父さん。私は美里叔母さんじゃないわ。茉莉よ』だったけど。そのテンポよくパシッと言える辺りが、似ていると思った。顔かたちや、話し方、声も似ていたけど、ここまで似ていると驚かされたよ。でも、茉莉ちゃんが言った通りなのだよ。『美里じゃなくて茉莉』なのだと思うよ。だから、俺の感傷に付き合う必要はないと思う。茉莉ちゃんには、茉莉ちゃんの人生があって、茉莉ちゃんには茉莉ちゃんが気に入る男性がいると思うから」
と、ゆっくりと話した叔父。
「でも、お母さんは、時間がないからと、叔父さんと思っているのよね」
と、私は母の顔を見た。
「そう。今まで共学の学校に通っていて、周囲に男子もいるのに、彼氏もできない茉莉に、これから彼氏ができるかしらって不安もあるし、できたとしても、それが何年も先だとすれば、茉莉が健康でいられるという保証はないわ。茉莉は知らないかもしれないけど、母さんは、不安で仕方がないの。恐怖すら感じるの。茉莉が癌検診を受けて結果が出るまで。いいえ、結果が出ても、この数日でもしかしたらって思うと」
と、話す母の言葉をそこで遮って、私は、
「それは同じよ。私だって、検診の結果が出るまで怖い。出ても不安で仕方がないわ」
と、答えた。母は頷いた。
「確かにお母さんが言うように、いろいろ経験した方がいいのかもしれないとは思うわ。死ぬときに後悔したくないから」
と、私は話した。本音だった。
「叔父さんの意見は?」
と、訊くと、黙り込む叔父。そして、ポツリ、ポツリと話し始めた。
「そうだな。さっき、妻の面影が茉莉ちゃんにあったから、思わず、妻が帰ってきたのか。死んだというのは何かの間違いだったのではないかって思って立ち上がって、茉莉ちゃんを抱きしめてしまったよね。悪いことをしたと思っているよ。ただ、そのときに、妻との結婚前、まだ、学生で付き合っていたころのことを。初めて妻を抱きしめたのも、妻が一人暮らしをしていたアパートのキッチンだった。あのとき、妻は言ったんだよ。『好きなら好きって言いなさいよ。エッチしたいならエッチしたいって言いなさいよ。私だって覚悟を決めたから、招いたのよ』って。その時のことを思い出した。茉莉ちゃんは、『叔父さん。私は美里叔母さんじゃないわ。茉莉よ』だったけど。そのテンポよくパシッと言える辺りが、似ていると思った。顔かたちや、話し方、声も似ていたけど、ここまで似ていると驚かされたよ。でも、茉莉ちゃんが言った通りなのだよ。『美里じゃなくて茉莉』なのだと思うよ。だから、俺の感傷に付き合う必要はないと思う。茉莉ちゃんには、茉莉ちゃんの人生があって、茉莉ちゃんには茉莉ちゃんが気に入る男性がいると思うから」
と、ゆっくりと話した叔父。
「でも、お母さんは、時間がないからと、叔父さんと思っているのよね」
と、私は母の顔を見た。
「そう。今まで共学の学校に通っていて、周囲に男子もいるのに、彼氏もできない茉莉に、これから彼氏ができるかしらって不安もあるし、できたとしても、それが何年も先だとすれば、茉莉が健康でいられるという保証はないわ。茉莉は知らないかもしれないけど、母さんは、不安で仕方がないの。恐怖すら感じるの。茉莉が癌検診を受けて結果が出るまで。いいえ、結果が出ても、この数日でもしかしたらって思うと」
と、話す母の言葉をそこで遮って、私は、
「それは同じよ。私だって、検診の結果が出るまで怖い。出ても不安で仕方がないわ」
と、答えた。母は頷いた。
「確かにお母さんが言うように、いろいろ経験した方がいいのかもしれないとは思うわ。死ぬときに後悔したくないから」
と、私は話した。本音だった。