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未婚の母、桃宮茉莉32歳
第3章 三回忌
15年前。

父の三回忌。

集まった親戚と言っても、母と私。そして、父の妹の夫の3人。

奇しくも、その日は、父の妹、要するに私の叔母の四十九日。

父も叔母も若くして癌でなくなった。癌家系と言われることもあるらしいけど、父方は癌で亡くなる人が多かった。

父方の祖母も、大叔父、大叔母、父の従兄、父の従妹も、50歳を超えて生きた人はいなかった。

「娘の恵里は去年11歳で、妻の美里は今年36歳で、一昨年は克彦の兄貴。みんな癌です。桃宮家は呪われてるよ」

と、私の母に話したのは叔父の志位宗次。

「親戚、親類と言っても、桃宮の血を継いでいるのは、茉莉ちゃんだけだ」

と、嘆きながら、美里叔母さんの四十九日法要と父の三回忌が終わったあとの会食でヤケ酒を飲んだ。

母は、

「そうですね。夫の従妹の咲月さんも結婚して、子供さんができる前に亡くなったし」

と、沈鬱な感じでした。

私が母と暮らしていた長屋に戻ってきて、仏壇のある部屋で、叔父の宗次が、母に、

「美和さん。あの写真、見ろよ」

と、指差したのは、両親の結婚式の写真。そして、私のお宮参りの写真。親戚・親類が集まって、撮った写真。どちらも10人弱が映っている。

「あの写真に映っていたなかで、今、生きているのは、俺とお前さん、茉莉ちゃんの3人だけだ」

と、話した叔父の宗次。

「茉莉ちゃんは高校3年生だよな」

と、私を見た叔父の宗次。

「はい」

と、答えた私に、

「早く子を産まないと、桃宮の血が絶える。今、ここで桃宮の血が流れているのは、茉莉ちゃんだけだからな」

と、酔って顔を真っ赤にして、泣いていたのか、目を真っ赤にして、私を見つめた叔父の宗次。

「彼氏はいるのか?」

と、訊いた。私が首を振ると、

「そうか。そうだよな。茉莉ちゃんには、桃宮の血が流れているから。癌になるリスクも高いからな」

と、話した叔父の宗次。私が怪訝な顔をしたからか、

「癌家系って知っているか?癌は遺伝するんだよ。癌になる人がみんな遺伝じゃないが、家族に癌になった人が多い家系は癌になるリスクが高いのだよ」

と、話した叔父の宗次。叔父は医師だったから、言っていることは間違いなさそうだった。
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