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未婚の母、桃宮茉莉32歳
第4章 癌家系
「やはりそうなのですか?」

と、叔父の宗次の話に反応したのは母の美和。

「生活習慣や感染症の可能性もあるが、兄妹が揃って大腸癌。従妹も大腸癌。家系に大腸癌で亡くなる人が多すぎる。しかも、50歳を超えて生きた人がいない。そんなことがあるか。医学的には、癌の発症メカニズムはわかっていないが、ここまで揃うと、癌家系と認めざるを得ないさ。結果、今、桃宮の血が流れているのは、茉莉ちゃんだけだ」

と、嘆く叔父の宗次。涙で顔がクシャクシャだった。酔っていて激情を抑えかねている感じだった。それは、妻の美里さんを亡くして49日だったということもあったと思う。

「義兄さんは40歳。妻は36歳。早すぎる。娘は11歳だった。来月は娘の一周忌。本当に呪われているよ桃宮の家は」

と、嘆きながら、

「茉莉ちゃんは、生きるんだぞ」

と、私の両肩を掴んで話した叔父の宗次。

「茉莉もいつ何があるかわからないわ。早く子供を産まないと桃宮の血が絶えるわ」

と、嘆く母。その話を聞いて、というか、それ以前から、自分がいつまで生きられるか不安だった私。さらに、死という恐怖が湧いてきた。

立て続けの父、従妹、叔母の死。怖くないはずがなかった。

「茉莉ちゃんには、早く彼氏を見つけて結婚して、子供を産んでもらわないと」

と、話す叔父の宗次。

「そんなに簡単に彼氏はできません」

と、男性経験もないし、そもそも、親しく話をする男子も高校にはいなかったから、皆目見当がつかない状況だった。

「そうだよな。里奈さんは、彼氏ができたと思ったら、結婚式より先に葬式だった」

と、思い出して話したのは、父の兄妹の3番目の里奈叔母さんの話。大学を卒業して、職場恋愛で24歳で結婚することになった矢先に、癌が見つかり、結婚式を延期。そのまま、結婚式を挙げることなく、先に葬式になった。私が小学生の頃。

私の周りにはいつも死が漂っていた。
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