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情報ねずみは眠らない~情報屋の淫らな仕事~
第3章 小説家の裏の顔
「ひなのお陰で、今回は本当に良い小説が書けそうだよ。ありがとう」

「それは…良かった。ホントに間取りの情報、良かったの?」

「もちろんだよ。報酬としては足りないくらいだ」

千里は薄闇の中で美しい顔をほころばせた
それにつられてひなも頬を緩ませる

その情報を渡すことで、自分自身に危害が及ぶ恐れなど、全く考えていない晴れやかな顔
そんなことよりも、今は自らの執筆活動にしか興味がないのだろう

「ありがたく貰っとく。…じゃぁ、行くね」

そう言って、門を出ようとした瞬間、後ろから千里に抱きしめられた
そのまま振り向かされ、千里は腰をかがめてひなの唇と自分の唇を合わせる

ちゅっ…

驚いた顔のひなを、再び強く抱きしめる

「…ひな、僕キミのことがすごく気に入っちゃったよ…、また会える?会いに来てくれる?」

絞り出すような切ない声に、ひなは心臓がどきどきいうのを感じた

「…もう、この屋敷に来ることは、無いよ…」

それだけ言い、ひなは千里の腕から逃れる
千里は泣きそうな顔で立ちすくんでいる

「だ、だから…、もし私に用があったら、ここにいるから…」

服の内ポケットから探偵事務所の名刺を取り出し、千里に渡した
名刺の名前は、所長の銀次だが、事務所の場所と受付期間等が記載してある
名刺に視線を落とし、千里はすぐに顔を上げると最高の笑顔でひなに抱き付いてきた

「ありがとう、ひな!!」


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