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情報ねずみは眠らない~情報屋の淫らな仕事~
第4章 情報屋の前の顔【前編】
3年前のことは、実は今でも実感が湧いていない
何もかもが突然で、強引で、そして、残酷だった



その日は、珍しく家族が全員揃う為、ひなは急ぎ足で高校から通いなれた道を走っていた
両親はある大手製薬会社の研究員で、毎日忙しく働いている
優秀で、人を助けるような研究をしている両親が、ひなの憧れで自慢だった
そして、来年から高校生になる2つ年下の弟
生意気で口喧嘩が絶えないが、入学祝に何か買ってやろうかなんて思っている

「ただいま!」

玄関を開き、家の中に声をかけたが何の返事も無い
おかしいな、普段ならだれかが返してくれるのに…
そんなことを考えながら、靴を脱ぎ、リビングへ向かう

「・・・・・は?」

リビングに広がっていた光景に思考が停止する
食卓の横に倒れているのは父だろうか…
その近くにうつ伏せに倒れているのは弟だろうか…
そして、その周りに広がっている
赤黒い液体は
まさか、
2人の


ふらふらと父と弟に歩み寄る
突然、背中の右側に違和感を感じた
違和感は、始めは冷たかったがじわじわ熱くなっていき、そして、視界がぐにゃりと回った
倒れる瞬間、部屋の中に、黒い目出し帽を被った男が見えた気がした
赤色に濡れた、刃物がぬらりと光った
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