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情報ねずみは眠らない
第4章 情報屋の前の顔【前編】
ほとんど傷も塞がり、自由に身体を動かせるようになったひながベッドを降り、伸びをしていると、銀次が部屋に顔を覗かせた
治療中にも何度か顔を見せていた銀次だが、こうして立っている姿を見せるのは初めてだった

「わあ~ひなちゃん!すっかりよくなったね~!」

そう言いながら、ひなの頭を撫でてくれる
得体の知れない男だが、命の恩人に変わりは無いし、お気楽な銀次の性格は未来に不安を抱くひなを、少しばかり安心させた
銀次はベッドに腰掛け、隣に座るよう促した

「そろそろ退院できるって、先生に聞いたからさ~。ひなちゃんと今後の話をしに来たんだ~」

変わらずニコニコしたままの顔で、銀次は話を切り出した

「ここを出たら、とりあえず俺の探偵事務所に住みなよ~。そして、ちょっとずつ仕事を覚えていけばいいよ~」

「え…でも、そこまでお世話になるわけには…」

「もちろん、ひなちゃんの治療費は俺が今肩代わりしてるから、それをちゃんと返済してもらうよ~。そういう意味でも、ひなちゃんは俺の傍にいなきゃだから~」

男性から『傍にいろ』と言われるのは初めてで、こんな状況にも関わらずひなはドキッとしてしまう

「わ、わかった…」

赤い頬に気付かれぬよう、頷いて顔を伏せた
不意に、銀次が真剣な表情でひなを見つめた
いつもへらへらしている銀次のそんな顔を見るのは初めてで、ひなの鼓動は大きく脈打ち始める


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