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ふみふみ
第15章 死去
七海ちゃんはそんな綾子を心配していたのだった。
智也と七海ちゃんの溝は深くなってゆく。
この頃になると智也は仕事が休みになると前日からどこかへ出かけて帰って来なくなった。
七海ちゃんは、ある意味二人の大切な人をこの時失くしたのだと思う。
ひとりは父、タケシでもうひとりは夫の智也だった。
七海ちゃんは日に日にご飯を余り食べなくなって痩せて行った。
アタシは見ていられなくなっていたのだ。
そんな智也に七海ちゃんはこう言った。
「智也くん、何故そんなことをするの?」
「え?」
「私、とても苦しいわ…」
そういう言うと泪を流すのだった。
その泪を見ても智也は何も言わない。
「どうして、そうなってしまったの?」
「俺さ、自分の子供が欲しいんだよ…」
それを聞いた時の七海ちゃんのショックは言い表せなかった。
智也は七海ちゃんに子供が出来ないと知ると他所に女を作ったのだ。
アタシは智也が許せなかった。
七海ちゃんはそれを聞くと寝室のベッドに突っ伏して大きな声で泣いていた。
アタシは寝室に入ってモモと二人で七海ちゃんを慰めた。
七海ちゃんはアタシとモモの頭を優しく撫でてくれる。
「フミ、モモ、私とても悲しいわ…」
アタシとモモはそれを聞いて一言鳴いたのだった。