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ふみふみ
第15章 死去
「お義母さん、ありがとうございます…」
そう言うと七海ちゃんは病院に行ったのだ。
病院に着くとタケシの顔には白い布がかぶせてあった。
近寄って話しかける。
「お父さん、今来たわ…」
七海ちゃんはタケシの死に目に会えなかった。
「お父さん、ごめんね、さっき帰ったりして…」
すると、母、綾子がこう言ってくる。
「お父さんは七海の事待っていてくれたのよ…だから、大丈夫よ…」
「お母さん、私、お父さんの死に目に会えなかった…」
「大丈夫よ…お父さんは分かってるわ…」
そう言うと綾子と七海ちゃんは抱き合って泪を流していた。
それを、弟、真司が見ている。
真司も泪を隠せなかった。
タケシの葬儀は仕事柄大工だったので大勢の人が来てくれた。
タケシは外面がとてもいい人で、何故だか人から慕われていた。
家では家族に対してDVしていたとは誰も思わなかっただろう。
智也の父、聡一と朋子も参列してくれた。
もちろん、智也も一緒だったし弟の浩司も一緒だった。
葬儀は粛々と執り行われ、初七日も無事に済んだのだ。
母、綾子はだいぶ老けた様に見えた。