この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ふみふみ
第19章 病気
そう言うと七海ちゃんは泪を流した。
そして、アタシが眠る段ボールベッドにやって来た。
「フミ、お母さんがもう余り長くは生きられないのよ…」
そう言うとアタシの頭を撫でてくれる。
アタシは嬉しくて鳴いた。
七海ちゃんは尚も話す。
「フミ、あなたもそうなの?」
アタシにはそれを聞かれても自分では分からなかった。
後、どれくらい生きられるんだろう。
「フミ、…フミの最後もちゃんと看取るからね、好きなだけ生きていいのよ…」
アタシはこれを聞くと嬉しくなった。
七海ちゃんは、アタシの最後をちゃんと看取ってくれるのだ。
アタシはちょっと鳴いた。
七海ちゃんの哀しみは計り知れないと思う。
綾子の最後を看取り、アタシの最後も看取るのだ。
それは、本当に辛くて哀しいことだと思う。
でも、アタシは頑張っていた。
綾子も頑張っていたのだ。
七海ちゃんは綾子の看病をしながら、アタシの面倒も見てくれた。
工藤はそんな七海ちゃんを支えていたのだ。
今の七海ちゃんに必要なのは優しい工藤の気持ちだった。
それだけで、頑張れると感じていたのだ。