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ふみふみ
第19章 病気
こうして、七海ちゃんは仕事を辞めた。
そして、綾子の看病を始めたのだ。
アタシの事も気になっていた。
アタシは少しだけ元気が出て来た様にこの時思っていた。
普通にご飯も食べられたし、動くことも出来たのだ。
七海ちゃんはそんなアタシを見ると安心した様だった。
毎日、毎日、七海ちゃんは実家に通って綾子の面倒を看ていた。
綾子がこう言うのだ。
「七海、ごめんね、お母さんの為に仕事辞める事になって…」
「いいのよ…」
「本当にごめん…」
「それよりも、お母さん早く元気になってね…」
「うん、お母さんもまた元気になって働きたいからね、頑張るわよ…」
そうは言ったものの、七海ちゃんは綾子の余命を知っていた。
知っていながらも励まさなくてはならない事に苦痛を感じていたのだ。
七海ちゃんは工藤にこう話した。
「健一さん、お母さんの事ではありがとう…仕事辞めた事もそうだけど…」
「いいんだよ、だって七海ちゃんのお母さんじゃないか?心配して当たり前だよ」
「ありがとう、もうお母さんもそんなに長くないわ…」
「そんな事言うなよ…」
「でも、お医者さんからも言われたの…」
「そうか、なら最後まで一緒にいてあげなよ…」
「ありがとう、健一さん…」