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ふみふみ
第20章 虹の橋
翌朝…。
七海ちゃんは段ボールの箱の中で冷たくなっているアタシの姿を見つけた。
「フミぃ、虹の橋を渡ったのね…」
工藤もそれを見ていた。
「七海ちゃん、大丈夫?」
「うん、大丈夫よ…フミが死んだわ…」
そう言うと工藤の胸に顔を埋めて泣き出した。
七海ちゃんの瞳から泪が溢れてくる。
モモが心配そうに七海ちゃんの足元にやって来る。
工藤がこう言った。
「フミは七海ちゃんに飼われて幸せだったと思うよ…」
「そ、そうかな…」
「そうだよ、幸せだったんだよ…」
事実、アタシはとても幸せだった。
七海ちゃんとの19年間は色々あったけれど、アタシはとても満足していた。
アタシが虹の橋を渡ったのはこの年の6月のことだった。
アタシは19年生きた。
人間の年齢にしたら92歳くらいだった。
大往生だと言える。
アタシの猫生はこうして幕を閉じたのだ。