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第1章 プロローグ

それはまだ、アタシが生まれる1年前の事。
七海ちゃんは当時21歳だった。

その頃、七海ちゃんは某量販店で販売の仕事をしていた。
仕事はとても愉しかったらしく、毎日元気に会社に通っていた。

七海ちゃんのお父さんの武史はアルコールが入っていない時はとても優しくていい人だった。
でも、一度アルコールが入ってしまうと家族にDVをしてしまうのだ。

七海ちゃんはお父さん、タケシのことで深く悩んでいた。
タケシはお母さんの綾子や弟の真司にもDVをしてしまう。

このままだと、自分もおかしくなってしまうのではないかと感じていたのだ。
七海ちゃんは、母の綾子にこう言ってみたのだ。

「お母さん、お父さんと別れて私たちと一緒に暮らしましょうよ…私も働いているし…」

七海ちゃんはどうにかして、お母さんの綾子を救い出したかった。
でも、綾子はこう言うのだ。

「私は、お父さんと別れたら生きていけない…だから別れられないわ…」

七海ちゃんはそれを聞くと非常に驚いたし、落胆もしたのだ。
夫婦とは親子でも理解できない何かがあるのだと七海ちゃんは思っていた。

弟の真司はもう18歳だからタケシが暴れても勝つだけの力があった。
でも、自分や綾子はタケシの力には勝てなかった。

そんなタケシも自分のアルコール依存症でDVなのを認識していたようだった。
七海ちゃんはそんな父、タケシに聞いてみたのだ。

「何故、お父さんはお酒が入ると暴力をふるうの？」
「あ、そ、それは、仕事で上手くいかないと、つい家族に当たってしまうんだ…」