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ふみふみ
第1章 プロローグ
タケシの仕事は大工だった。
他所の家を造ったりしていたけど、自分の家は一軒家の借家だった。
七海ちゃんはこの話しを聞くとタケシはとても弱い人間なのだと感じたらしい。
それは、それで辛いのだろうなと思った様だった。
でも、やはりDVは許せないと思っていた。
七海ちゃんは母親や弟の事が気になってはいたが、いつかこの家を出ようと考えていたようだ。
その為にも、今一生懸命に働いて沢山貯金をしなくてはいけないと思っていた。
七海ちゃんは毎日、毎日、一生懸命に働いて、お金を貯めて行った。
そして、1年の歳月が流れた。
七海ちゃんが22歳になった時だ。
ようやく引っ越し費用もできて、自分一人で生活できるだけの貯金ができた。
その当時、七海ちゃんには同じ年の彼氏がいたのだ。
その彼氏に七海ちゃんは相談してみた。
「智也くん、私、この家を出るから、引っ越しの時車出してくれる?」
当時、智也は免許を取り実家で両親と一緒に暮らしていて父親は車を持っていた。
その父親の車を貸して欲しいと七海ちゃんは言ったのだった。
「うん、大丈夫だよ、父さんにも七海ちゃんの事は話してあるから…」
「あぁ、良かった…」
「で、引っ越し先は決まったの?」
「うん、智也くんの家から直ぐのところよ…」
実際に、智也の家から歩いて10分くらいの所にアパートを見つけたのだ。
「じゃ、今度の仕事が休みの水曜日の日に車お願いするわ…」
「うん、分かったよ…」