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ふみふみ
第7章 暖かな箱
その時、七海ちゃんは乾燥機の扉を閉めるのを忘れていた。
と、言うか、熱が冷めるまで扉を開けておいたのだ。
アタシはその暖まっている乾燥機の中にスルリと入って行った。
その中はとても暖かくて部屋で暖房のエアコンの風に当たっているよりも暖かく感じた。
アタシは寒さには非常に弱かった。
七海ちゃんの家にはまだコタツがなかったのだ。
アタシは乾燥機の中で眠っていたのだった。
「フミ、もう乾燥機の中で寝たらダメなのよ?」
七海ちゃんはアタシを抱っこしながらそう言うのだった。
アタシはそう言われてもあの暖かな場所を忘れる事はできなかった。
七海ちゃんは呟いた。
「早く、コタツを買わなくては…」
そう思っていたのだけれど、今年は乾燥機を買ってしまった。
コタツを買うお金は七海ちゃんにはなかったのだ。
アタシは暫くの間、乾燥機の中で眠ることが多くなった。
その度に、七海ちゃんはアタシを乾燥機の中から引っ張り出す。
そして、扉を閉めるのだ。
この七海ちゃんとのやり取りはしばらく続いた。
確かコタツを買って貰うまでは続いたと思う。
アタシはコタツを早く買って貰いたかった。
そのコタツは思ったよりも早くアタシのところにやって来たのだ。