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ふみふみ
第7章 暖かな箱
アタシはその暖かな場所から引き離される。
七海ちゃんの部屋は日当たりが悪くて洗濯物が干せなかった。
と、言うか、ベランダのドアを開けると直ぐに道路があり洗濯物を干すには余り良い環境ではなかった。
外に干せば車の排気ガスで洗濯物が汚れてしまうだろう。
それを、恐れて七海ちゃんは洗濯物を外に干すのをやめていたのだ。
この年の12月に七海ちゃんは会社からいくらかのボーナスが支給されていた。
いくら支給されていたのかアタシは知らない。
お金に関してアタシは興味がなかった。
だから知らない。
そのボーナスで七海ちゃんは乾燥機を買ったのだ。
その乾燥機を洗濯機の上に台を取り付けてそこに乗せていた。
この日、七海ちゃんはいつもの様に洗濯が終わると洗濯物を乾燥機に入れた。
そして、いつもの様に乾燥のボタンを押した。
すると、洗濯物はグルグルと回りながら徐々に乾燥されてゆく。
アタシはそのグルグル回る洗濯物が面白くて、洗濯機と乾燥機が置かれている隣の白いタンスの上で見ていた。
洗濯物は完全に乾くまでにはかなりの時間が掛かる。
アタシは飽きもせずにそれを眺めていた。
1時間くらい乾燥していただろうか。
乾燥がし終わると「ピー!ピー!」と音がして知らせてくれる。
七海ちゃんはいつもの様に乾燥された洗濯物を洗濯籠に入れていく。
アタシはそれを見ていた。