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ふみふみ
第11章 里親
「智也くんには分からないのよ!!」
七海ちゃんはまた泪を流している。
智也はちっとも七海ちゃんやアタシの事を考えていないのだとこの時思った。
自分の思い通りにさえなればそれで良かったのだ。
でも、七海ちゃんは智也の思い通りにはならなかった。
「今日は、智也くんとは一緒にいたくないの…」
「え?何で?」
七海ちゃんの怒りはもっと激しくなってゆく。
「顔も見たくないのよ…」
「え?どうしてさ?」
「だって、直ぐにフミを処分するか、即退去して欲しいって言われてるのよ!!」
「そ、そうなの?」
「そうよ、智也くんは何もできないでしょう?!」
智也はそれを聞くと何も言えなくなってしまった。
尚も、七海ちゃんは続ける。
「今日は帰って頂戴!!一緒にいたくないの!!」
智也はそれを聞くと深くうな垂れてしまった。
七海ちゃんの怒りと哀しみは頂点に達していたのだ。
智也は何をすることも出来ずに、玄関へと向かう。
そして、ドアを開けると出て行ってしまった。
その後、七海ちゃんはまたアタシのことを強く抱きしめて来た。
「フミぃ、あなたを里子に出さないといけないかも知れないわ…」
七海ちゃんはそう言うとまた泪を流した。
アタシは一体どうなってしまうのだろう。
そう思ったのは言うまでもなかった。