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ふみふみ
第11章 里親

そんな事をしているうちに智也が仕事から帰って来た。

「七海ちゃん、来てたんだね…」
「ええ、お義母さんにフミを頼みにきたのよ…」

「なら、良かった。俺が飯食ったら一緒にアパートに帰ろうよ…」
「ええ、いいわ…」

アタシはまだ怖くてキャリーケースから出られなかった。
でも、もう暫く七海ちゃんがいてくれるのが分かるとアタシもキャリーケースから出てみた。

そして、七海ちゃんの腰かけている椅子の膝の上にスタっと上った。
七海ちゃんはアタシの頭を撫でてくれて、お尻ポンポンをしてくれた。

アタシは嬉しくて甘えて鳴いた。
智也が夕飯を済ませると、七海ちゃんを誘ってくる。

「七海ちゃん、ご飯食べ終わったからアパートに帰ろうよ…」
「ええ、分かったわ、最後にフミと話をさせて…」

そう言うとアタシに話しかけてくる。

「フミ、今夜からここで暮らすのよ、お義母さんのいう事ちゃんと聞いてね…」

アタシはそれを聞くと哀しくなって鳴いた。
七海ちゃんは智也と一緒にアパートに帰って行った。

アタシは不安と淋しさから一晩中鳴いていた。
それでも、母、朋子は何も叱ったりしなかった。

アタシは暫くの間、この2階建ての一軒家で暮らすことになった。
そして、また七海ちゃんとも一緒に暮らせる日は、そんなに遠い日ではなかった。

アタシは七海ちゃんとまた一緒に暮らせる日を毎日待っていたのだ。

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