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第14章 対面

次の仕事が休みの日に七海ちゃんは父、タケシの様子を見に病院に行った。
実家のタケシには随分と会っていなかった様に感じていた。

病室の扉を開けて部屋に入ってみる
そこには床に臥せっているタケシの姿があった。

「お父さん、大丈夫？」
「あぁ、七海か、大丈夫だ…来てくれてありがとうな…」

「病気だって聞いて驚いたわ…」
「でも、担当医の先生は手術すれば大丈夫だからって言ってくれたんだ…」

「そうなのね…手術頑張ってね…」
「あぁ、頑張るよ…」

その後、タケシは手術を受けた。
だが、その手術は手遅れだったのだ。

胸を開いて見たものの、食道以外の臓器にまでがんが転移していている状態だった。
だが、医師は転移している臓器を全て摘出してくれたのだ。

けれど、タケシはその事実を医師から知らされることはなかった。
余命は1年ちょっとくらいだったと母の綾子は聞いたと思う。

後は、痛みをどれだけ和らげられるかが問題となった。
タケシは自宅に帰り療養することになった。

七海ちゃんはその事実を知ると非常に驚き落胆した。
まさか、あのタケシの余命が1年余りだとは思えなかったのだ。

タケシは病気になると人が変わった様に優しく人に接するようになった。
あれだけ、わがままで自分勝手でDVでどうしようもなかったタケシの性格が変わったのだった。