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逢いたいから~心で告げた百万回の〝好き〟~
第2章 平凡な主婦が考えることとは。
狭い舗道沿いに縦長のフラワーポットが一つ、ぽつんと忘れ去られたように置かれている。純白の紫陽花が数本群れ咲いているのが、眼にも鮮やかだ。雨にしっとりと濡れた雪(ス)のように(ノウ)真っ白(クリスタル)な紫陽花は六月(ジユーン)の花嫁(ブライド)のように清楚かつ艶やかだ。紫陽花は小さな煉瓦造りの写真館同様、周囲のビル群からは浮いていたものの、このお伽話めいた建物とは実にしっくりと馴染んでいた。