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逢いたいから~心で告げた百万回の〝好き〟~
第3章 もう一度だけ、あなたに逢いたい
「ママ、泣いてるよ?」
 娘のひと声で、萌はその時初めて、自分が泣いていることに気付いた。
 萌は指先でそっと自分の頬に触れる。流れ落ちる熱い雫を指先でぬぐった。
「ごめん、何でもないの」
 萌は前方で運転している夫を気にしながら、慌て萬里に微笑みかける。Kという歌い手を萌は知らないし、この歌も聴いたことはなかった。でも、聴いている中に、萌の心の中に浮かんでいたのは、田所祐一郎の顔だった。
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