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トライ アゲイン
第9章 目覚めの時
「戻りたいだろうけど、
僕としてはこのまま、この世界に君がいて欲しいな」
「えっ?」
「だってそうだろ?
こうして偶然とはいえ、君に出会えたんだ。
僕は君に出会えて良かったと思っているよ」
『やだ…心臓がドキドキしてきちゃった…』
安祐美が彼を意識し始めたように
男もまた告白的な台詞を口にして顔を真っ赤にしていた。
なんとかこの場を誤魔化そうと慌ててコーヒーを口に運んで、その熱さに「あちっ!」と、思わず吐き出してしまう。
コーヒーは見事に彼のシャツを汚していた。
「まあ!大変だわ!
シミになっちゃう!早く脱いでくださいな染み抜きをしてさしあげますわ」
「いえ。いいんですよ、どうせ安物のシャツですから」
脱ぐことを躊躇う男を叱りつけて
安祐美は強制的に彼のシャツを脱がす。
目の前に現れる均整の取れた鍛えぬかれた分厚い胸板…
本当に大丈夫ですからと
戸惑う彼を無視して「やけど、されませんでしたか?」と冷たい水で濡らしたタオルを彼の胸板に押し当てた。
タオル一枚を挟んだ間接的なタッチに
安祐美は自分でも不思議なほど興奮しているのを感じた。
彼もまた同じようで、ゴクリと生唾を飲む音がした。
「や、やけどなんかしていません。
で、でも…」
「でも、なんですか?」
「君を見つめていると心がヤケドしちゃいそうです」
タオル一枚の緩衝剤があるのに
彼の鼓動が手のひらに伝わってきた。
『やだ…何だかドキドキが伝染しそう…』
気づけばタオルを放り出して
素手で男の胸板を撫でていた。
気持ちがいいのか男の乳首がくっきりと勃起している。