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トライ アゲイン
第3章 心だけタイムスリップ

安祐美がピクリともせずに
一向に目覚めない理由…

それは安祐美の心がタイムスリップして過去に戻ってしまったからだった。



『ここはどこ?…』

確か、自分は早朝の交差点で…
そう、確かに車に跳ねられたんだっけ…
それじゃあ、ここは病院なのかしら?
でも、体はどこも痛くない。

「こら、授業中に居眠りする奴があるか!」

コツンと頭を誰かに小突かれる。
たちまちドッと大きな笑い声があちらこちらから沸き上がる。

「えっ?」

慌てて安祐美は体を起こす。

その目に飛び込んできた光景は病室のベッドではなかった。
大きな黒板…
自分に向けられる沢山の男の子や女の子の顔…
交通事故に遭遇したと言うのに
その子たちは心配をしているという雰囲気ではない。
まるでコントを見ているかのように安祐美に向かって笑顔を注いでいた。

『これ、夢?』

思わずガバッと立ち上がった。

再び沸き起こる大爆笑。

安祐美に注がれる視線の子たちに見覚えがあった。
あれは…親友の優希ちゃん…
そして、ひそかに恋心を抱いている大和くん。

「えっ?ウソ!!??」

すっとんきょうな声を上げた安祐美の顔を
大人の男性が覗き込む。

「飯島、お前疲れているんじゃないか?」

その大人の男の顔も覚えている。
中学二年生の時の担任だった

「岡山先生…」

もうずいぶんとご無沙汰だというのに
担任の岡山先生はあの日のままだった。

「私…夢を見ているのかしら?」

「ほぉ~、授業中に居眠りして夢を見てたか?
お前、大物になるかもしれないな」

岡山先生の言葉に男の子も女の子も大爆笑だった。


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