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12歳年下の彼のお誕生日の話
第10章 美ら海水族館
「わぁ…ジンベエザメぇ~」
巴が吸い寄せられる様に
移動して、水槽の前に立つと
同じ様に水槽に吸い寄せられた
人達の波に飲まれそうになる。
『あっちからも…見えますから。
あっちに移動しましょうか?』
ジンベエザメを自分のカメラに
納めようとする人たちの群れで
身動きが取れなくなってた所を
彼に手を引かれてそこから移動する。
黒潮の海の大水槽は、
色々な角度から眺める事が出来て。
自分達が黒潮の海の水槽の周りを
ぐるぐると周回して移動する順路だ。
『実は、穴場があるんですよ?』
メインの巡回ルートから外れた場所にある
美ら海シアターは、その名の通りに
シアターの様に座席が設置されていて。
映画を観る様にして、黒潮の海の水槽を
眺める事が出来る。
「こんな所…あるって、知らなかった…」
『ここは割と、スルーされがちですからね。
ここからならゆっくり、特等席で
ジンベエザメ見られますし、
写真もゆっくり撮影できますし…』
ジンベエザメにばかり気を取られがちだが、
ナンヨウマンタや、オオテンジクザメ、
オニイトマキエイが悠々と泳ぐ姿も
一緒に観る事が出来る。
「港斗君、あそこでちょっと
何か飲んで休憩しようよ…」
大水槽を眺めながら、休憩できる
カフェ、オーシャンブルーがあって。
水槽を正面から眺めながら
過ごす事が出来る有料の指定席があって。
今日は彼のお誕生日なので、
水槽の前の特等席をお願いして。
港斗君は美ら海シーフードカレーと
オリオンビールを、私は紅芋の
タルトとマンゴージュースを
お金は…私のお財布から出させて貰って。
『巴さんッ、美ら海カレーッ
めっちゃ可愛いですよ。これっ』
バタフライピーを使った
海の様な真っ青なカレーに、
これまた鮮やかなブルーの
ライスがジンベエザメの形になっていて。
海の色のカレーの縁に、星型の
人参と、シーフードが並べられている。
「でも…、お昼もカレーだったよね?」
『でも…、ジンベエザメのカレー
可愛かったんで…つい…』
「確かに、可愛い…カレー」
カシャカシャとその可愛いカレーを
自分達のカメラに納めて。