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12歳年下の彼のお誕生日の話
第4章 7月7日 AM編
『す…ッ…すいません…、
待ち合わせの…時間…に
遅刻して…しちゃいました…ッ』
運転席の窓の向こうで
少し息を切らせながら
葵が小林に謝罪をして来て。
時間を確認すると9:02分だったので
遅刻と言って責めるような…
遅れ具合では無かったんだけど。
『…………、す…すいませ…ん、
ちょっと混乱してしまって。
一瞬…蛯名さんって…わかりませんでした』
『ちょ…ちょっと…、
気…気合…入れすぎ…でした…かね?』
気合い…と言う、彼女の言葉に
今日と言う日を、自分だけが
色々と下調べしたり準備したりして
期待半分不安半分で迎えたんじゃないと
言う事は……彼女の少し緊張した
声のトーンから…何となく気が付いた。
『いえッ…凄い…素敵…です…ッ。
言葉…がすぐに…出て来ない程に…、
蛯名さんみたいな…綺麗な女性が
自分の彼女…だなんて……
信じられない程です…』
『ええっ、い、今……ッ
綺麗って…言いましたか??
でっ…でも…嬉しい…です…。
今日は……また、魔法の力を
貸して貰っちゃったんで…』
彼女を助手席に乗せて、
須磨シーワールドへ向けて出発した。
垂水駅からなら、須磨シーワールドへは
車で20分程で行くことが出来る。
『今日だけ……自分の中で
一番可愛い自分で…
居られる…魔法…なんです…』
僕の中で…今日と言う日が…
今までのデートとは違う
特別な日…な様に、
彼女の中でも…今日と言う日が
特別な…日…だと言う事は
その言葉から伝わって来て。
『蛯名さんは…いつも可愛いですよ、
でも…今日の蛯名さんが…
一番…可愛いし綺麗だと思います。
楽しみ…ですね、須磨シーワールド』
今日は9時からのオープンだけど、
9時のオープンに合わせて
待ち合わせをすると時間が早すぎるから
9時に待ち合わせをして、
あっちの公園のスタバで
お茶でも飲もうかとか…思っていた。
『今日は…いいお天気ですね…、
海を眺めながらお散歩とかも
暑そうですけど、いい感じですね。
一足早い夏を楽しめそうですし』
『そうですね…、時間
10時でチケット取ってるんで。
あの辺り…少し歩きましょうか?
今日の蛯名さんのワンピース
海沿いの景色にピッタリだと思うので』