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処女(はじめての)浮気/お持ち帰りされた若妻
第2章 再会と予感


 この胸の高鳴り──ミキには覚えがあった。
 ふわりと宙に浮くような、柔らかくてあたたかい胸の高鳴り。

 あの日と似ている。
タツヤの願望を初めて受け入れた夜、ベッドの縁に会ったばかりの男と並んで座った時。
優しく肩を抱き寄せられキスを交わし、「今から、この人と繋がるんだ」と実感したあの瞬間のドキドキに──。

 「顔、赤いけど。そんなに飲んだか?」
 
 レンがミキの顔を覗き込む。
その距離感に、ミキの心臓がドキッと跳ねた。

 「え?いや……だ、大丈夫」ぎこちなく笑いながら、グラスに口をつける。
(やだ、わたし……一人でドキドキして……。私とレンが――ないない、私達、既婚者同士よ)
 
 「それにしてもすごい偶然よね。私、ホントは残業だったんだけど、急に早く帰れることになって」
 「へえ、偶然だな。俺も一本電車乗り遅れてなかったら……多分会ってない」

 (え……なに? これって……)
 ミキの心に、言葉にならないざわめきが広がる。
 (まさか……運命、なんて……だめだめ、何考えてるの私)

        ◇◆◇◆◇◆◇◆

 尽きぬ昔話、ふわふわと回る酔い。
漂う空気には、どこか“逢瀬”の匂いが混ざり始めていた。

 「そろそろ出ようか。誘ったのは俺だから、ここは任せて」
 レンが明細を手に取る。
その仕草には、タツヤにはない大人の余裕が滲んでいた。

 店を出た時、空にはすっかり夜が降りていた。
時刻は、もう21時をまわろうとしていた。
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