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処女(はじめての)浮気/お持ち帰りされた若妻
第3章 ワンナイトラブ

ネオンの明かりに照らされた店先で、二人は肩を並べて立っていた。
夜風が吹き抜け、ミキのスカートがふわりと揺れる。
「言ってなかったけど……俺、この街にはもう戻らないんだ」
「え……?」どうして?と理由を聞きかけた唇が、言葉を飲み込む。
レンの言葉に、ミキはふと自分を重ねてしまった。
誰にだって、話したくないことの一つや二つある。
夫の目の前で、別の男に抱かれる妻──自分だってそんな秘密、誰にも言えるわけがない。
「最後にミキに会えて、本当に良かった。俺にとっては、奇跡みたいなもんだよ。……ずっと、会いたかったから」
レンの視線が絡みつき、伸ばされた手が、そっとミキの手を包んだ。
ドクン、と心臓が跳ねる。
(え?うそ……これって、私、口説かれてる……よね?)
「レンくん、私……」
ミキは視線を落とし、そっと自分の結婚指輪を見つめた。
言葉が途切れたまま、二人は手を繋ぎ続けた。
酔っ払いが何人も横を通り過ぎるたび、その静けさが際立っていく。
「……ホテル、すぐそこなんだ。よければ、もう少し……一緒にいてくれないか」
キュン、と胸が甘く締めつけられる。
(だめ……だめよ、それは。わかってる。でも……このまま別れたくない)
「う、うん……もう少しだけ、飲みたい……かな」
ミキの頬がじんわり熱を帯び、耳の先まで赤く染まる。
レンは何も言わず、その手をそっと引いた。
幼かったあの頃、一緒に学校へ登校した時のように。
繋がれた手のぬくもりを感じながら、二人は並んで歩き出す。
(え……待って。なにこの空気、なにこの流れ……私、タツヤの妻なのに――)
わかっていても、ドキドキが止まらない。
火照り始めた身体……もう、自分では止められない。

