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処女(はじめての)浮気/お持ち帰りされた若妻
第4章 一線を越える


 「……本気か?」
少し間を置き、レンが真顔で問いかける。
ミキはその瞳をまっすぐ見つめ、大きく「うん」と頷いた。

 2人の空気が、まるでひとつに溶け合うように満ちていく――
だがその刹那、ミキのスマホからLINEの通知音が響いた。
(あ……タツヤだ)

 現実が、音を立てて戻ってくる。
直後、今度はレンのスマホからも同じ通知音。
「……嫁さんからだ」
 スマホを手にしたレンが、どこか達観したように微笑む。

 一瞬前まであった温もりが、静かに遠のいていく。
 (この感じ……前にも……)

 初めてタツヤの望みを叶えた夜。
まさにその瞬間、思い出した。
見知らぬ男に抱かれそうになりながら、ふとタツヤの顔が浮かんで挿入を拒んだ、あの夜。

 「……そ、そろそろ帰らないと」
 ミキが小さく笑い、布団から身を起こす。
時計はもうすぐ午前0時。

 「シャワー、浴びていけよ」

 「ううん、やめとく……怪しまれるからさ」

 「……そっか。ごめんな、今日は。……でもありがとう。俺さ、やっと踏ん切りついたよ」

 その言葉に、未練はなかった。
レンの顔からは影が消えていた。
きっと――もう、二度と会うことはない。

ミキは、そう思った。
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