この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あなただけ今晩は
第3章 泥湯温泉
私たちは8月上旬にちょっと早めの夏休みを取ることにしたのだ。
もちろん、アキラが買ったレガシィに乗って行くのだった。
旅行当日…。
真夏の晴天に恵まれた。
空は青く夏の雲がモクモクと湧いているのが見える。
横浜を出発したのは朝早くだったと思う。
川口まで行き、そこから東北道を仙台方面に走ってゆく。
アキラは東北道に入ると直ぐにパーキングエリアに入る。
そこで、運転を私に代わるのだ。
私はレガシィを東北道で走らせるのが好きだった。
東北道は東名とは違いかなり緩やかな道が続くように思う。
運転歴がそんなにない私でも運転しやすい道だと言える。
私は、東北道の古川までの距離をレガシィのアクセルを思い切り踏み込んで運転してゆく。
レガシィはアクセルを踏めば踏む程良く走る車なのだった。
運転していてもとても愉しかったのを覚えている。
泥湯温泉までは古川I.C.から鳴子経由・国道108号、国道13号、県道51号(湯沢栗駒公園線)を経て泥湯へと続く道を古川I.C.から160分かけてゆく。
私が運転するのは東北道だけだった。
古川I.C手前のパーキングエリアでアキラと運転を交代したのだ。
古川からかなり田舎道を走った様に思う。
泥湯温泉は高松岳山麓のくぼ地に小さな集落を成す静かな山間の温泉、鄙びた風情がある場所だ。
泥湯温泉とは天狗伝説の残るみちのくの秘湯だった。
たっぷり浸かれば世俗遠のく温泉情緒を味わえる。