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あなただけ今晩は
第8章 乳頭温泉郷

そんな優しいアキラに私は感謝をしていた。
それに、益々アキラを好きになってゆく自分が分かったのだ。

「彩ちゃん、もっと沢山温泉旅行に行こうな…」
「ええ、連れて行ってね…」

「もちろんだよ…」
「ありがとう、アキラくん…」

そんな会話をして、また潤一たちと愉しくお喋りをした。
愉しい時間はあっという間に過ぎてゆく。

潤一の娘、琴美が眠くなったらしくぐずってきたのだ。
潤一がアキラにこう言ってくる。

「じゃ、俺たちもう寝るからさ…」
「分かった、俺たちも部屋に帰るわ…」

「明日は“鶴の湯”に行って、温泉に浸かろうって文恵が言うからそれでいいよな?」
「あぁ、構わないさ…雅史もいいだろう?」

「あぁ、いいよ…」

雅史はそう言うとあくびをして見せる。
こんなやり取りがあり、各々部屋に戻ることになった。

私とアキラは二人だけになった。
ちょっとドキドキしていたのは言うまでもなかった。

隣の部屋からは琴美がちょっとぐずって泣いている声が聞こえて来た。
暫くすると、その声も聞こえて来なくなった。

私は敷かれている布団へと入って横になった。

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