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あなただけ今晩は
第10章 湯宿温泉
季節は流れて寒さ厳しくなる11月を迎えていた。
今月11月は私とアキラの2回目の結婚記念日だった。

私がアキラにこう提案した。

「今月は結婚記念日よね?」
「うん、そうだね…」

「私、鄙びた温泉に行きたいわ…」
「鄙びた温泉てどこさ?」

「そうね、調べたら群馬県の湯宿温泉てところがいいらしいわ…」
「そうか、俺も鄙びた温泉がいいからそこに行こうか?」

「ええ、行きたいわ…」
「じゃ、行こうか…」

そんな、会話があり結婚記念のお祝いにと二人でまた温泉旅行に行くことになった。
とても残念なのだが、どこの宿に泊まったのかを覚えていなかった。

せっかくの結婚記念のお祝いなのに何故だか思い出せなかった。
ただ、外湯が3~4件ほどある小さな温泉宿だったと思う。

私はそんな小さな鄙びた温泉宿が好きだった。
それは、アキラも同じだったのだ。

湯宿温泉は関越自動車道「月夜野IC」より国道17号線の新潟県との県境・三国峠方面に向かい、猿ヶ京温泉の手前に位置する温泉地だ。

かつては関東と越後を結ぶ三国街道の宿場町として栄え、今もなお狭い石畳にそって湯けむり立ち上る町並みが続き、とう時の落ち着いた雰囲気を色濃く残している。

開湯は約1200年前と伝わる古湯だ。

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