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第5章 初体験

「我慢してください、奥さん」

原島は、絵理奈の目の前に椅子を置いて座っているようだ。

その彼が今、絵理奈にある刺激を与えてくる。

「原島さん、くすぐったい・・・・・・・・・」

「ははは、そうですよね・・・・・・・・」

絵理奈の耳元から首筋に、羽毛のような感触がうごめいている。

絵理奈は想像する。

原島が、油絵で使う筆を手にしていることを。

繊細な筆を選択し、その毛先を今、絵理奈の裸体に触れさせているのだ。

人妻の肉体の輪郭を、その筆に教え込もうとするように。

触れるか触れないかの微妙なタッチ。

細かな毛先が、しばらく首元からうなじ、鎖骨周辺を遊ぶように漂う。

「駄目っ、原島さん、くすぐったいよ・・・・・・・・」

耐えられないように、もじもじと絵理奈が椅子の上で肢体を動かす。

筆先が、ゆっくり下に降りていく。

「奥さん、両手をあげて」

「こうですか？・・・・・・」

指示されるまま、絵理奈は大胆に両手をあげ、頭上で組む。

無防備な人妻の腋の下に、筆先がそっと触れる。

「いやんっ・・・・・・」

その瞬間、絵理奈の全身にぞくぞくする快感が走り抜ける。