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エリート妻色情飼育
第25章 第四部 犠牲 第二十二章 休日出勤
「そ、それは・・・」

口篭もる裕子に、幸造の大声が矢継ぎ早に降り注いでいく。

「言い訳は無用やっ・・・。
ワシは確かにカギをかけとった筈やで。
最近は新しい秘書も雇とらんさかいな・・・」

春香の顔を見て言ってから後悔した幸造であったが、半ば開き直るように続けた。

「ここには絶対、
誰も入れるなと言うた筈や・・・」

今まで一度も春香の見た事が無い厳しい顔付きで、腕を組んで立っている。

春香は急に恐ろしくなって震えていた。
何か男の黒い正体を垣間見たような気がしたのだ。

しかし、リンとした表情を崩さずに裕子はハッキリとした口調で答えていく。

「確かに・・・その部屋に入りました。
でもそれは・・・
最初からカギがかかっていませんでした。

偶然、開けてしまった佐山さんに
隠す訳もいかず説明するために入ったのです」

一歩も引かぬ態度は春香にとって頼もしく感じ、熱い想いが込上げてくるのだった。

「そ、そうか・・・」

怒りで真赤になっていた幸造の顔が裕子の剣幕に押され、見る見る冷めていった。

「そう言えば、カギ忘れたかもしれんな。
伊藤さん、堪忍してや・・・」

素直に謝る社長の態度に、裕子も直ぐに表情を崩して言った。

「いいえ、私こそ・・・。
もっと気をつけておけば良かったのです」

これが幸造の魅力なのだろう。
自分の過ちに気付いた時は、子供のように無邪気に謝るのだった。

春香が二人のやり取りを見ながら瞳を潤ませている。
それに気付いた幸造は優しく春香に言った。

「おおっ・・驚かしたかな、スマン・・・」

孫をあやす祖父のようにオロオロしている。
そんな男が可笑しくて、春香も裕子も吹き出してしまった。

「フフフフフ・・・」
「あっはっはっはっは・・・」
「ホホホホホ・・・」

三人の笑い声が社長室に響いていく。
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