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第17章 囲み痴漢

次の駅で、反対側の扉が開いて、何人か乗ってきた…。混み具合はマックスという感じ。私が３人の女性の間から夫を見ると、

「大丈夫かい？」

と、訊く夫。私は頷いて、

「具合はどう？」

と、夫に訊いた。

「大丈夫だよ。しかし、今日は混むね」

と、話す夫。

「そうね」

と、私は答えた。前にいる３人の女性が、話す私と夫を不機嫌そうに見た…。夫が、軽く数回頷いて、話すのをやめようという雰囲気を出したので、私も頷いた…。

前にいる３人の女性の横にいた女性が、電車の出発の振動に揺られるように、その３人に重なって、私の前には４人の女性が並ぶ形になった…。それで、背が低い夫の姿は見えなくなってしまった…。

まるで、ブラインドのような感じの４人…。と、思った瞬間、臀部に違和感…。というより、その瞬間、トートバッグを肩から下げていた腕を掴まれ、反対のつり革を持っていた手の二の腕を掴まれた…。腕を掴んだのは、前にいた女性。私と同年代の30歳代の女性。そして二の腕を掴んだのは、50歳代の貫禄のある大きな女性…。そして、40歳代の女性がカーディガンの前ボタンを外して、スカートの上から、陰部を撫で始めた…。女性が？もしかして、ウルフのように女装？と思ったけど、違う。明らかに女性…。ノーマスクだから容易にわかる…。性転換とか、ニューハーフ？とも思ったけど、違う感じ…。

焦ったわ…。あの4人が痴漢をしてくると思っていたら、周囲にいた女性が痴漢をしてくる感じだったから…。というか、痴漢？『漢』じゃない…痴女？と、戸惑っている間にも、後ろからカーディガンの生地の上から臀部を撫でる手のひら…。手のひら…。

振り返って見ると、ジラーフとシーライオン、ベアーはいるけど…。離れていて、手が届く距離ではない…。ウルフは、近いけど…。この手の中の一人なのか定かではない…。ベアーがスマートフォンのカメラを向けている…。撮影しているのかどうかはわからない…。ジラーフとシーライオンは、私の視線に気が付いて、ニヤッと笑った…。

どういうこと？なぜ、女性が痴漢行為をするのか理解できず、パニックになったわ…。顔ぶれを見ても、年齢もバラバラ…。30歳代から50歳代…。ナニ繋がりなの？共通項が思い浮かばない…。