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えっちなBL短編集
第3章 チェスの天才、シヴの悩み[パリピ青年×チェスの天才]
目が覚めると、

「シヴ!起きたのか!本当悪い!俺酒癖悪くてよ、酷いことしちまったよな」

エドガーが全力で謝ってきた。何でと言う前に、昨日の記憶を思い出す。エドガーに拘束されて、明け方まで無理矢理薬で気持ちよくされた。

「…」
「シヴ、昨日のこと覚えてるか?」
「…着替えさせてくれたのか」
「ああ、シヴの服は今洗濯回してるぞ」

肌触りのいいロングシャツを撫でる。ひんやりと滑らかな素材で、普段着ない素材だから変な感じがする。

「シヴ、悪かったな。酷い目に合わせちまって」
「…」
「…何か怒鳴るとか殴るとか、そういうのないのか?」

ここは普通怒るところだ。でもなぜだろうか。感情が上がってこない。ベッドに横になり、天井を見上げる。

「エドガー、別に俺は怒ってないぞ」
「はっ?いや、そんなはずねぇだろ。…そもそも何があったか覚えてるか?」

視界を遮るようにエドガーが上から覗き込んできた。昨日の記憶を少し思い出す。耳の奥でまだエドガーが「クハハッ!」と笑っているのが聞こえた。

「あんたに犯された」
「…ああ、悪かった。謝っても許されることじゃねぇよな。本当ごめん」

本心かどうかはさておき彼は謝っている。一体どっちが本当の彼なんだろう。あれが彼の本性なのか。それとも…。

「…あんたは中途半端に人がいいんだな」
「?」
「謝らなかったら、俺があんな風にされるのは当然のことなんだって流していたのに」
「流すなよ。こんなこと異常なことだってわかるだろ」

それがわかったら…ここまでチェスにのめり込んでいない。無意識に天井を見上げていた。

「…」
「じゃ、教えてやる。友達だからな」

エドガーは何で俺にそこまでするんだろうか。友達、その言葉を昨夜のことがあっても尚嬉しく思ってしまうのだった。
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