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えっちなBL短編集
第5章 神様の生贄になった子供達
昔不思議な少年に会ったことがある。

小学3年生の時、母方の祖父が亡くなった。
祖父とは会ったこともなかったし、正直亡くなったと聞いてもふーんとしか思えなかった。

ちょうどその日妹が高熱を出して父が付き添っており、葬式には母と兄そして俺が参列した。祖父の葬式では、見たことがない親戚や友人が大勢来て異様だったことを覚えている。

「母さん、これいつ終わるの?」

「…」

「ねぇってば」

「まだかかるわ。じっとしてなさい。…だからお父さんといなさいって言ったのに」

母にそう言われたが、じっとしているのが苦手だった俺はこっそり葬式から抜け出した。

ちょうどその時、彼にあったのだ。

「そこで何してるの?暇ならこっち来て俺と遊ばない?」

白髪で金色の目をした少年がいた。どこかで会ったような気がしなくもない印象で、俺と同じく退屈に耐えかねた誰かの子だと思った。

「今暇でしょ。鬼ごっこしようよ」

「する」

退屈だったし、差し出されたその手を取ろうとしたが…

「ダメ」

後ろから葵兄さんが来て、強い声色でそう言った。普段怒らない温和な兄さんにそんなことを言われたことがなく、驚いた。(少し怖くもあった。)

「ダメじゃないか。お祖父様の葬式中にうろちょろしたら」

兄さんはすぐにいつもの兄さんに戻り、俺の手を握った。

「ねぇねぇ遊べないの?」

「遊べないみたいだ」

「そっかー。いつならいい?」

「いつ?」

「早く一緒になりたいんだけどな」

一緒に?少年はしばらく意味のわからないことを喋った。同じ言葉を喋っているのに理解ができなくて、兄さんが間に入り少年が何かを喋った。会話に入れてもらえない疎外感を感じつつ話が終わるのを待つ。

「…そっか。わかったよ。じゃあもう少しだけ待ってあげる。バイバイ、柊」

少年は手を振って去っていった。名前なんて言っただろうか、そんなことを考えていると…

「ふぅ…。僕がいる限り守ってあげるから大丈夫だよ」

何から?なんて思ったが、聞けなかった。よくわからないが、それ以上踏み込んではいけない気がした。
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