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花魁〜OIRAN〜
第4章 水揚げ
ずいぶん前から、お咲の水揚げについては廓界隈でちょっとした噂の種になっていた。

使いっ走りの禿の頃からお咲の器量の良さは群を抜いていて、女郎見習いとして姉さん達について回っている時も、客はうっかり可憐なお咲に見とれてしまい、後で花魁に散々嫌みを言われたものだった。

そんなお咲の水揚げにはもちろん何人もの男達が金に糸目をつけず名乗りを挙げたが、その中でも取り分け好色で蔵にうなるほど金があると評判の豪商、迴船問屋の池田屋主人が早々に話をつけていた。

「池田屋の…」

お咲は思わず涙がにじんできた目を慌てて廓の女将からそらした。

お咲は足繁く廓に通ってきては浴びるように酒を飲み、美食三昧ででっぷり太った池田屋の姿を思い出していた。

金があるのをかさにきて何人もの女郎と遊び、飽きればゴミのように薄情に捨てる男。
父親よりも年上の、白目が黄色く濁ったあの男が最初の男になる…

お咲は込み上げる吐き気を必死でおさえ込んだ。


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