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第5章 誓い

水揚げの夜。お咲は池田屋の待つ部屋に向かいながら、心に誓った。

「今日からオラは遊女になる。おっ母、空から見ててくんろ。お雪姉ちゃ、今も辛い目にあってるんべな。オラ、身体はどん底の地獄さまで落ちても心は汚さね。おっ母とお雪姉ちゃの自慢のお咲のまま年季を勤めあげて見せるべ！

「お咲！何モタモタと…池田屋様が待ちくたびれておかんむりだよ！」
「…へい。いえ、はい。ただいま。」

目の前の池田屋はお咲の想像以上にいやらしく、それを隠そうともせず、テラテラと脂ぎった顔でいきなりお咲を夜具に押し倒し接吻をした。
唇の端から強い酒が流れこみ、お咲はむせた。
「…うっ」

「ふふふ。さすがに初々しいのう。わしは今まで数えきれない位の娘を女にしてきたが、お前は格別じゃ。大枚はたいた甲斐があるというものじゃ。」

酒の肴でべたついた左手でお咲の折れそうに細い首を押さえ込み、右手は慌ただしくお咲の着物の帯をほどき、あっという間に襦袢姿にさせられた。