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第13章 日常



 私は相馬の背中から視線を外し、ようやく自分の席に落ち着いた。

 事務仕事を進めながら、無意識に、相馬が戻ったら自然と話し掛けられるネタを探していた。
そんなものは見つからなかったし、お昼休みぎりぎりまで相馬は戻ってこなかった。
相馬は先輩と喋りながら自分のデスクに資料だけ置いて、そのまま先輩と喋りながら、声をかける間もなく、お昼ごはんに出ていった。
私のほうを見もしなかった。



 どこかほっとしているのも、正直、事実だった。

 相馬の好きな女の子って、どんな子なんだろう。
うちの会社の人? それとも全然関係ない? 
相馬でも振られることあるんだなあ。
私と似ているところも……あったりするんだろうか。
私でも代わりは務まったんだろうか。



 私もお昼ごはんを食べに出て、休憩時間が半分ほど過ぎたときだった。
持ち歩いていた社用スマホが鳴った。
誰だお昼休みに仕事してる奴は、と思いながら、何の気なしにスマホを開いた。



『ごめん、やっぱりちゃんと話がしたい』

 相馬からだった。

 指先から血の気が引く感覚がした。


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