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unbalance
第14章 予定外
平然を装って返信をするのに、十数分掛かった。
何と返せばいいかわからなかった。
「話って何の話?」、「もう終わったことにしようよ」、「私は気にしてないから」、「話すことなんてない」、
いろいろ考えて、結局震える指で、わかりましたと返事をした。
向こうからの返事は、お昼休みが終わるころだった。
今日退勤後、またタイミングをみて場所を指定するとのことだった。
生きている心地がしなかった。
午後の始業直前に自席に戻ると、相馬は既に自分の席に座っていて、私に背を向けていた。
ずるい、先に座っちゃうなんて。
あの隣には、座りづらい。
しかしまあ、ずっと突っ立ってるわけにはいかないので、私は相馬の背中に向かって、正確にはその隣の自分の席に向かって――
「霧野ぉ!」
後ろからでかい声が掛かって、私はびくりと肩を震わせた。
紙の束を持った部長が、こちらに向かってくるところだった。
あれは、今朝私が配った資料。
「何だ、この資料は!」
え、何?
何か悪かった?
間違ってた?
そりゃ大急ぎで作ったから多少の誤字とかあるかもしれないけど、そんな怒るような大きなミス――
「データが一年前のじゃないか! 今年のでぜんぶ作り直せ!」
「え?」